Enterprise HTML5 Seminar 2017レポート(4)「IT企業/IT技術者のためのHTML5 さらなる優位性の築き方」
先日行われましたEnterprise HTML5 Seminar 2017のセッション内容について紹介します。幾つかのセッションは非公開となっています。今回は特定非営利活動法人 LPI-Japan 和田 真輝様による「IT企業/IT技術者のためのHTML5 さらなる優位性の築き方」の内容を紹介します。
昨年我々が開催したHTML5ビジネスサミット2016というイベントがあります。ここではSAP社に登壇いただいたのですが、彼らのコンセプトはデザインシンキングになります。SAP社は利用ユーザ企業の考え、行動から学んでデザインに取り入れていこうという考え方をしています。ユーザに対してどうやって高いユーザ体験を提供できるのか、そういった観点からHTML5を導入しています。
次に話を少し変えまして、業務システムにおいてHTML5のどういった機能が役立つのかを紹介します。一つ目はワンソースでマルチデバイスに、二つ目はオフライン時にはService Workers、最後にGPS情報の活用になります。
現在業務の世界ではモバイルデバイスの利用が当たり前になっています。2018年には1,070万のモバイルデバイスが業務で活用されていると言われています。そのような中ではデスクトップだけでなくスマートフォン、タブレットにもワンソースでサービスを提供できなければいけません。
モバイルデバイスの利用が増加するのに伴って、それを使ったモバイルワークも増加していきます。昨今政府がテレワークという単語を使うのですが、これはリモートワークのことだけでなく、サテライトオフィスやモバイルワークも含まれています。そのような中、別な階や場所を移動したら無線が使えなくなってしまったというと不便きわまりないでしょう。Service Workersではクライアント側でキャッシュする仕組みなので、オフライン時にも仕事が続けられるでしょう。
最後にモバイルデバイスを使った業務として役立つのはモバイルデバイスに付属したセンサーや機能を使ったものです。例えば位置情報を扱うためのGPSがあります。配送車やルートサービスなどのGPSと業務システムが連携していれば、急な呼び出しに対しても一番最適な担当者が訪問できたり、ログを取っておくことでルートの確認ができるようになります。
次にパフォーマンスの観点でお話をします。例えばAmazonでは100ms反応を速くするだけで利益が1%増えると言われています。それはコンシューマ向けに限らず、今後業務システムにおいてもデザインシンキングの考えに基づくのであれば、必ずパフォーマンスが問題になってきます。お勧めは下記のGoogleの方が紹介してくれる手法です。
https://www.youtube.com/watch?v=GNAENzKdciQ&list=PLAwxTw4SYaPmKmNX-INgcxQWf30KuWa_A
JavaScriptはインタプリタなプログラミング言語なので、実行速度が遅いんじゃないかと言われることがよくあります。しかし、JITコンパイラですので遅くはありません。速度を比較したグラフによれば、Javaよりも圧倒的に高速です。
では次に企業においてどういった人材が求められているのかを紹介します。今のシステムというのはクライアントとサーバの構成で成り立っています。そうした中、サーバサイドだけ、クライアントサイドだけでなく、両方できるような人材が優位性を生むようになっています。
そこで役立つのがHTML5プロフェッショナル認定制度ではないかと思います。Level1とLevel2があり、前者は「マルチデバイスに対応したWebコンテンツをHTML5を使って企画・制作できる」、後者は「最新のAPIを駆使したWebアプリケーションを設計・開発できる」のを目的としています。HTML5認定の評価として、今後取得したい資格の一位に選ばれています。
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