HTML5開発に適したIDEを探す(その7)「Intel XDK」
引き続きHTML5開発を目的としたIDEを紹介していきます。これまでに紹介してきたIDEは以下の通りです。
今回はIntelが提供しているHTML5開発用のIDE、Intel XDKを紹介します。Cordovaの開発やIntel Edisonの開発にも利用できる多用途なIDEとなっています。
UIは独特
Intel XDKはマルチプラットフォーム対応されていて、若干特殊なUIに感じられるかも知れません。またネイティブに比べると若干速度が落ちるようです。
新規プロジェクトを作成する際には、WebアプリケーションかCordovaを使ったハイブリッドアプリの開発かを選択できるようになっています。

Webアプリケーションを選択した場合、以下のフレームワークがデフォルトに組み込めるようになっています。
- App Framework
- Ratchet
- Twitter Bootstrap 3
- jQuery Mobile
- Topcoat
いずれもWebアプリケーションを開発するためのフレームワークになります。
ビジュアルデザイナーが付属
Intel XDKの便利なところとして、ビジュアルデザイナーがあります。通常、オーサリングツールで提供される機能ですが、Intel XDKではコンポーネントごとにドラッグ&ドロップでUIを組み立てられるようになっています。

細かな修正はプロパティを編集して行いますが、Webサイトを作れるレベルでのカスタマイズは求めない方が良いでしょう。ただしWebベースの業務システムを構築するには十分な機能となっています。
もちろんソースコードを自分で修正することもできます。

補完入力対応
補完入力はもちろん提供されています。

HTMLの場合はsrc要素に対してファイルのパスから補完入力が可能です。

hifiveのようなライブラリを読み込んだ場合も補完入力が可能ですが、すべてのメソッドが出る訳ではないようです。

一部、下の画像のように関数の内容まで補完してくれます。これは便利な機能です。

デフォルトでJSLint対応
JavaScriptのファイルに対しては自動的にJSLintの結果が表示されます。

プラグインによる拡張
プラグインが用意されています。CSSLintであったり、LESSの補完機能などが手軽にインストールできます。コミュニティベースのZipからのインストールも可能です。

高機能なスマートフォンシミュレータが付属
Intel XDKのシミュレータは高機能で、スマートフォンの枠を使ってそれらしく表示します。デバイスも多彩なAndroidデバイスに加え、

iPhone 6 Plusも提供されています。

ダミーで位置情報を与えることができたり、ネットワーク設定を変更することもできます。

デバイスの傾きや加速度をシミュレーションすることができます。HTML5のAPIを活用したWebアプリ開発に役立つでしょう。

外部APIをサポート
ちょっと変わった機能として、多くの外部Webサービスで提供されているAPIを実行する機能が備わっています。例えば以下はiTunesのAPIをコールする機能で、カテゴリや国などを入力補助してくれます。

そして設定ができると、そのWeb APIを利用するためのダミーコードを生成してくれます。

デバッグはChromeをサポート
Intel XDKではブレークポイントは提供されていません。その代わりにGoogle Chromeを立ち上げてデバッグできるようになっています。JavaScriptのデバッグについてはGoogle Chromeを利用する形になります。
ただしDOMについてはIntel XDK上で立ち上げたDev ToolsからGoogle ChromeのDOMをハイライトさせられます。

非常に面白いのはBracketのようにリアルタイム編集機能に対応していることで、Intel XDK上で修正したHTML内容をその場で(リロードなしで)Google Chromeの表示結果に反映できるようになっています。リロードなしでHTMLの修正がどんどんできるのは面白い感覚です。
代替記法のサポート、テスト機能はなし
プラグインには今のところQUnitを動かしたり、CoffeeScriptを使うような機能はなさそうです。この辺りは既存の仕組みを使う必要があるでしょう。
Intel XDKは想像しているよりもIDEとして優れています。デバッグはGoogle Chromeを頼るのが良さそうですが、スマートフォンを含めてシミュレート環境についてはIntel XDK上だけで完結できます。またビジュアルデザイナーがあるのは大きな利点です。
Webアプリケーションの他、CordovaやIntel Edisonの開発環境としてもIntel XDKは活用できます。業務系Webシステムを構築したり、開発者がプロトタイプを作成していくのにはぴったりではないでしょうか。
Trackbacks & Pingbacks
コメントは受け付けていません。