企業が古いIEを捨てられない理由
古いIEのサポートが停止されたため、できることならばIEを刷新したいところですが実際にはそうそう簡単に移行は進んでいません。未だにIE8以降から対応を願われる案件も多いようです。
そこで今回は企業においてレガシーなIEを捨てきれない理由をリストアップしてみました。
ハードウェア問題
ブラウザの前に最新版に変えなければいけないのはOSです。今なおWindows XPが使われている企業も存在します。そのマシンに最新版のOSに差し替えたとしても、メモリやCPUが貧弱でまともに動かないでしょう。そうなるとOSの入れ替えコストだけでなく、ハードウェアの購入費用まで発生します。人数の多い企業では大きなコスト負担になってしまうことでしょう。
また、ハードウェア問題はオフショアにおいても起こりえます。東南アジアをはじめとする経済が大きくない地域では最新のハードウェアを用意するのは困難です。そのため、日本では型落ちになっているようなハードウェアを使っている場合、OSをバージョンアップできないことがあります。
デバイス問題
特殊なデバイスをつなげて使わなければならない場合もあります。金融系、入退室管理、取引先との通信回線をつないだ取引などです。RS232Cなどを用いるため、専用のソフトウェアも必要となって縛りになってしまうケースです。
そういった場合、予算が許すのであればハードウェアを入れ替えて古いOSを仮想化して動かすのが良いでしょう。特定用途でしか使われない機能によって全体のセキュリティレベルを下げるのであれば、周囲の環境とは隔絶された状態にしておくのが安全です。
対応するソフトウェア問題
ハードウェアについで多いのが使っているソフトウェアがWindows 7や8に対応していないといったパターンです。OSの差し替えができないため、ブラウザのバージョンアップもできない状態になります。予算的な問題に限らず、ソフトウェアを提供している企業自体が倒産していたり、サポートを停止しているケースもあります。
プラグイン問題
一時期の韓国ではActiveXの利用がとても多かったために古いバージョンのIEが使われ続けてきました。日本ではさほど多くはなかったものの、一部の業務システム提供サービスにおいて独自のプラグインを提供していることでブラウザをバージョンアップできないケースがあったようです。Edgeブラウザではプラグインに対応していませんので、今後ますますプラグインを利用したサイトはニーズがなくなっていくと思われます。
業務システムの一部ではFlashやJavaアプレット、そしてSilverlightが使われていることがあります。これらは度々プラグイン自体のセキュリティ問題によってウィルスやマルウェア感染を引き起こします。Microsoft社はSilverlightを止め、Adobe社もFlashを開発終了しています。今後数年を考えるならば代替技術への乗り換えは必須と言えるでしょう。
ヒューマンリソース問題
IEを最新版に入れ替える環境はできつつも、面倒であるという理由で手がつけられていないケースは多々あります。すでに動いているシステムがあり、問題なく運用できているのにあえて問題を起こしかねないアクションを取りたがる人はいないでしょう。特にシステム管理者となると数百台(場合によっては数千台)のPCを管理していますので、一つのトラブルが大きなコストになりかねません。
問題が起こるまでは対処しないというのは場当たり的であり、自分たちでコントロールできない状態に発展する可能性が高いです。IEをバージョンアップする場合は自分たちで計画し、検証した上で段階を踏んで実施できるのがメリットと言えるでしょう。
予算問題
ハードウェア、ソフトウェア、ヒューマンリソースなど問題はありますが、結局のところ予算問題につながります。IT資産に対して十分な予算がかけられない企業は多く、なるべく今あるものを使い続けようとしてしまうものです。しかし、これはITにおいてはリスクを増加させる行為かも知れません。
業務においてインターネットを使わない日はほぼないといえます。そんな中、マルウェアやウィルスのリスクは常時存在します。Microsoft社が古いWindows、IEのサポートを停止するということは、今後セキュリティホールが見つかったとしても放置されるということです。
大きな問題につながる前に移行計画を立てていくのが良いでしょう。その際にはOSやブラウザに依存する技術を用いず、中長期的なメンテナンスが期待できる技術を利用するのがお勧めです。
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